英語の上達、ゆっくりと・・・

海外移住するにあたって心配事の一つに上がるのが英語のスキルだと思います。
私は学生の時に留学経験があるのでとても恵まれていると思いますが、それでもカナダ移住ににあたり、友達作りはできたとしても、英語ネイティブの国ですんなりこれまでの仕事経験が通用し、コミュニケーションも問題なく仕事ができるのかについてとても不安がありました。
2年経ってみて、正直最初はとても苦労しましたが、時間と共に現地のやり方やコミュニケーションを学び、英語は完璧でないにしてもやっていけています。と言うのも、その環境に入ってしまえば、周囲から学び、ついていこうと努力するからだと思います。

英語そのものの上達は3歩進んで2歩下がる、くらいのペースでしょうか。
英語がスラスラと出てくるいい日もあれば、しどろもどろな日もあり、仕事でうまくコミュニケーションが取れなくて凹んだ日は数え切れません!が、カナダに来てから学んだこと:英語だけでなく、「人の目や承認を気にしない」精神、「発音よりも何を言っているか、どう発言するか」などを実践しています。今日はいくつかの学びについて書きたいと思います。

◉ 英語上達のコツ?:練習するしかない
◉「発音の悪さは聞こえない」
◉ コミュニケーション力=英語力だけではない

英語の上達のコツ?:練習するしかない
これはもう誰もが知っていることかもしれませんが、言語を上達しようと思ったら実際に使うことが一番の方法です。
いわゆる「英語スキル」はIELTSなど英語テストで測ることができると思います。
私の場合、カナダに来てから少しずつ伸びたのですが、リスニング>リーディング>スピーキング>ライティングの順番。個々の点数は伸びましたが、英語脳が鍛えられた(英語で対処するキャパシティが上がった)印象でしょうか。。
カナダに来てどのくらい時間をかければ英語が上手くなるの?と思っている方に、私の例を紹介します。

まずリスニング。
カナダに来た当初、学校に通っていたので一日中英語のレクチャーを集中して聞く毎日が続きました。日本でも仕事で英語を使う機会はありましたが、正直話したり聞いたとしても、1日に最大2−3時間程度。
いきなり英語だけを聞き続ける環境になったのが良かったのか学校が始まって3ヶ月くらい経った頃にIELTS試験を受けたところ、リスニングの点数が向上。ちなみに英語の上達を目的に、日本語の接触は最低限に減らしています。家で見るテレビも英語番組のみ、練習としてニュースやドラマなどをみてシャドーイング(話されている英語を聞いてそのまま口に出すこと)をするなどしていました。

次に上達したのがリーディング。他のクラスメイトと比べても読むスピードが遅いので、英語の本(ビギナー向け)や雑誌を買って読書をしていました。今でも読み間違いをしたり、わからないボキャブラリーはあるのですが、カナダに来た当初と比べると英語を読むスピードと苦痛はだいぶ和いだと思っています。。

リスニングとリーディングはカナダに来て数ヶ月で慣れてきたな〜と言う感触があったのですが、上達に時間がかかったのがスピーキング。
日本人全体的に苦手とする分野だと思います。

仕事始めたばかりの頃は、同僚と話をしている時に「言いたいことが日本語で思い浮かんでいるのに英単語が出てこない!」とか、表現力・ボキャブラリーが足りず自分の言いたいことがうまく伝わっていない、とか、器用に枕詞を使ったりできずダイレクトすぎて失礼に聞こえてしまった・・・など気まずくなることも日常茶飯事。
英語脳のキャパシティの問題でもありますが、例えば英語で言いたいポイントが3つあったりすると、最初の1つを英語で説明し終わる頃には残りの2つを忘れてしまう、なんてことも。日本語なら間違いなく、理論的に、うまく説明できるのに!と悔しい思いをしながら、英語での会話をモノにできていないことを実感する日々が長いこと続きました。
このジレンマを繰り返しながら「うまくなったかも?」と実感できたのはカナダに渡航して1年以上が経ってから。
仕事の会議などで、話を聞きながら、メモしながら、資料を読みながら、質問に回答すると言うような、(強制)練習をしたことが大きかったと思います。もう一つは仲良しのカナダ人の友達ができたことで、平日・週末問わず、長時間英語を話す機会に置かれたこと。
犬との暮らしだとどうしても自分の楽な日本語へ流れてしまったり、家にいて誰とも話さないことの多いですが、「話さなくてはいけない環境」に身を置くことが、英語上達のポイントだったと思います。
スピーキングに慣れてきたかな〜と思った頃(カナダに来て1年半くらい)に再度IELTSテストを受けたところ、それまで点数が全く動かなかったスピーキングで1.0点上がり客観的にも上達したことがわかってとても嬉しかったのを覚えています。

日本人は全体的にリーディングやライティングがとても上手だと思いますが、リスニングとスピーキングはやはり英語の環境に身を置くことが一番だと思います。

「発音の悪さは聞こえない」
発音が悪くて聞き取ってもらえなかったらどうしよう?とか、上手く説明できなかったら?と言う不安を持っている方も多いと思います。
私も仕事を始めたばかりの頃、不安で仕方なかったのですが同僚にもらったのがこのアドバイス。「発音は誰にも聞こえてないわよ」
カナダのいいところでもあるのが、移民を多く受け入れているので英語ネイティブでない人が多く、発音が上手いとか上手くないとかは重要視されていないこと。さらに公式言語が英語とフランス語なので、「カナダ人」であってもフランス語ネイティブで英語の発音がわかりにくい人もたくさんいます。英語に加えて他の言語も話せるのよ、と胸を張るくらいでいいのです!
日本にいて外国人が頑張って日本語を話していたら、どんなに発音が悪くても大体言いたいことはわかるし、頑張ってるなと思うじゃないですか?それと同じようなもので、伝えたいことがはっきりしていれば発音や文法がちょっと間違っていても大体わかってもらえます。ただこの「伝えたいことがはっきりしている」ことがカナダではより重要だと個人的には思っています。
カナダは自分の意見や意思をはっきり伝えることがとても大事で、日本のように空気を読む文化ではありません。「No」も含めて思っていることははっきりとそのまま言葉に出す必要があります。好きか嫌いか、賛成か反対か、行きたいか行きたくないか。
日本ではNoということは失礼に聞こえるので「考えます」とか「後で返事します」と言う、直接的でない返事で済ませると思いますが、カナダでは逆。ちゃんと理由をつけてさえいれば、Noということは失礼に当たらないどころか、あやふやにするよりもよっぽど信用を得られたり、反応として好まれます。
例えば急いでいる時に道端で話しかけられたりした時、「後何分で目的地に辿り着かないといけないから、行かないといけないの」とはっきり伝えたり、
犬が嫌いなので近寄らないで欲しいと言う場合には、何も言わず遠回りをしたり嫌な顔をするのではなく「犬が怖いので遠ざけてくれませんか?」とはっきり伝えることが大事。

脱線しましたが、「何を言いたいか」さえ言葉にすれば、発音も文法もカナダ人は気にしない(聞こえない)ので、「上手く話さなきゃ」と言う心配は全く不要です。

コミュニケーション力=英語力だけではない
英語が上手くなりたいと思うのは、要は英語でうまくコミュニケーションしたいと言うことなのだと思います。
もちろん英語のボキャブラリーを増やしたり、文法を正しく使えるようになればなるほどスムーズに会話ができるのは否めません。が、カナダに来て感じたことは、英語が完璧に使いこなせるからといってコミュニケーションが上手くいく訳ではないと言うこと。逆に言えば、英語が下手でもカナダでのコミュニケーション様式を学べば、気持ちよく会話することができるのだと思います。
私がカナダに来て特に大事だと思ったコミュニケーション方法は、「自分の感情と行動を具体的に説明すること」。
2番目の「言いたいことをはっきり伝えることが大事」と言うことに関連しますが、カナダではスモールトークだったり自分の気持ちや意見を説明する機会がとても多いです。極端に言うと、言葉にしないと「この人何考えているのかわからない」や詳細に話さないと勘違いされてしまったりネガティブに捉えらてしまいます。

例えば、初めて私がアパートに引っ越して1階エントランスのセキュリティシステムから入れるか試している時のこと。
他の住人が後ろから入ってきたとします。私が玄関ドアの横にいても住人の人は入れるので、敢えて話しかける必要はないのですが、「今日引っ越してきたばかりだからうまくドアを開けられるか試しているの。私のことは気にしないで先に入ってね!」と一言説明と意図を伝えれば、「この人一体何をしているのかしら?侵入しようとしているのかしら?」と言う疑問を避けるだけでなく「そうなのね、建物にようこそ!」と笑顔で返答してくれたりします。次にばったり出会った時も、「建物に慣れた?」と会話につなげることが出来ます。
他の例では、1対1の会議中にメモを取りたいので、横でゴソゴソと手を動かしているとします。日本だったら特に説明しないと思いますが、カナダでは「この会議のメモを取りたいので、メモ帳を取り出しているのだけど、聞いているから気にしないで話を続けてね」などと解説するように伝えたりします。相手の言っていることを聞いてなかったんじゃないかと言う誤解を防ぐだけでなく、話を続けていいのか一旦止めたほうがいいのかを明確に伝えることで気持ちよく会話を続けることができます。

この「今自分が何を考えているのか」「何をしているのか」言葉に出して解説することは、日本人として慣れていない行為だと思います。「空気を読んで」「気を利かせて」何かをすることに慣れている日本人は、敢えて相手の意図を聞いたり、自分が何をしようとしているのか伝える文化ではないのだと思います。私自身、正直自分から話さなくていいシーンはわざわざ話しかけたりしない、意見を言わないことが多かったのですが、仕事でも日常の小さな出来事でも「何を考えているのかわからない」とか、悪い意図はなかったのに勘違いされてしまった経験から、日本のやり方はカナダでは通用しないのだと実感しました。
自分が今「嬉しい」のか「困惑している」のか「ストレスを感じている」のか。「助けてほしい」のか「もっと説明してほしい」のか。
最初は自分が何を感じているのかを言葉にするのも、練習が必要でした。今は、少しずつ慣れてきて、誰かと接する時にはくどいくらいに話しかけたり自分のことを説明するようにしています。

仕事の場になれば、日常会話よりももっと複雑で、専門的な単語も出てくるので英語スキルは更に必要になりますが、「自分の意図を説明する」ことがコミュニケーションをよくする土台だと思っています。


最後に
カナダに来たときは、本当に周りの人がよく喋るので「そんなに話すネタなんてない」とか会話に疲れてついていけないことがよくありました(英語だし疲れるし)。今朝子供の送り迎えがどうとか、昨日の夜どこのレストランに行ったとか、最初は、よくそんなどうでもいいことを延々と話してられるな!と思ったりしたこともありましたが(苦笑)、こっちではそういった小さな出来事や情報交換、相手が何を感じているかを楽しんでいる=つまり人生の一瞬一瞬を楽しんでいるのだな〜と理解が真逆になりました。
日本では、上手く英語が話せないから黙っていた方がいいと思ってしまうかもしれませんが、カナダでは話さないより話した方が良い。「恥ずかしい」「緊張する」という殻を破って是非トライしてもらえればと思います!


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