アパート退去命令 (2)

家賃相場高騰によって、オーナーに退去命令を出されてから1週間。
「退去命令には拒否します!」と言う私の返信から、私を追い出すことができなければ損する額が大きいと判断したのか、
オーナーが次の手として「アパートを売りに出す」と言い始めました。
カナダのコンドミニアムは、日本で言う「分譲マンション」なのでもちろん売買することができ、オンタリオ州では新しいオーナーがアパートを購入した場合、購入日から60日を過ぎた次の更新日からオーナーシップを持つことになります。日本と違うのは、入居者がいたままで物件の売買ができること。もちろん購入する側も入居者がいることを知っての購入となります。
入居者側はどうなるかというと、新オーナーが同条件での入居を認めない限り、元オーナーによる退去命令は引き続き有効のまま。
そして、継続して退去命令に対して拒否することもできます。
この物件相場が高騰している状況では、新オーナーが同じ家賃で入居を認めることはほぼあり得ないので、引き続き元オーナーと退去交渉をすうことになります。つまり新オーナーに物件が引き渡っても、入居者の権利を主張して居座ることは可能には可能なのです。

ただ。。。
不当に家賃をあげようとする今のオーナーに対して交渉するとしても、何の罪もない新しいオーナーに迷惑をかけたくはありません(*´~`)ンー。今のオーナーのままであれば7−8ヵ月は交渉として居座ることを考えていましたが、すぐにアパートの買い手がついたとしたら、3ヵ月以内に退去するのが妥当のように思います。

対抗策として、アパートが売りに出された時に購入妨害をするという手もあります。。。
カナダでは入居者がいたままアパートを売り出せる=内見時に入居者がアパートにいてもいいことになるので、
この状況を逆手に取り、購入希望者が内見しに来た時に「あなたがこの物件を購入しても、私はここを出ていきませんよ」と宣言することができます。購入者からしたら、多額の投資となるので、問題ありの入居者が住んでいるとなれば購入からは遠ざかるでしょう。

これまで「いい人」になろう(?) と人生生きてきましたが、カナダに来てまさかこんな悪事に手を染める事になるとは・・・(ノд`@)アイター自分にがっかりしたところでしたが、この対抗策は実行できないことに気づきました。なぜなら売りに出される2月は、日本帰国していて物理的にアパート購入を妨害できないからです!
丸1ヵ月もの間不在にしていたら、すぐに売れてしまうでしょう。。。

オーナーは何としても私を追い出そうとしているし、この状況だと数ヶ月以内の退去は免れなさそうです。
カナダに来て初めて住んだアパート。2年近く住んで、ブルーと一緒にすごく住み慣れて気に入っていましたが、諦めなければいけない時が来たようです。( iдi )エーン

今引っ越すとなった場合。
今の不動産事情が事情(高騰している)なので、ローンが上がったオーナーも苦しいでしょうが、家賃が上がる私も苦しいです。
どう考えても、私が全ての損を被ってオーナーの思い通りに引越しするわけにはいきません。

そこで最後の手段として、1月末に退去する代わりに、予想される次の家賃との差額1年分を保証してもらえないか交渉することにしました。
今の物件相場から、次に入居するアパートとの家賃差額は400ドル程度になると思われ、12ヶ月分となると4800ドル。
今のアパートはもっと高い家賃で貸し出せるので、この額であれば、オーナーも私を追い出すことでまだ利益を確保することができます。

メールのやりとりには擦った揉んだありましたが、最終的にはこの4800ドルに近い額で保証してもらう形で交渉成立!!(¯。¯)ホーーォ
無事に契約を交わし、2週間以内に退去することになりました。ホッとすると同時に、パッキングと日本帰国で忙しくなります!
正直、オーナーとの関係も悪化していたし、2月はいずれにしても日本に帰っているので、引越しすることでよかったのかもしれません。
ブルーと一緒に過ごした思い出深い場所を去るのは名残惜しいですが、心機一転、新しい場所で新生活を迎えるのも悪くはありません。

1月の初めにオーナーから退去の連絡が来てから、精神的にどん底に落ち、闘志を燃やして不動産情報をリサーチし、緊張感あふれる交渉を経て、いろんなフェーズを経験しましたが、この数週間で学んだこともあります。
それは、困っている時に人に頼ってもいいんだということ。そして自分の状況を自ら発信すること。
カナダで知り合った友人、アパートのお隣さん、犬の散歩を通しての知り合い、そしてそれまで話したことがなかった駐車場を貸し出してくれた人まで(!?)、状況を知って電話をかけてきてくれました。話しを真摯に聞いてくれて、いかに私の状況が不当な退去であること、入居者の権利を主張すること、そして何か助けが必要なら相談してと言ってくれたり、友人の一人は私の交渉メールを添削までしてくれました。2年前の私なら「自分のことを話すとウザがられる」「人に迷惑をかけてはいけない」と遠慮して、相談したり助けを借りることはなかったでしょう。。
退去すること自体は辛い出来事ではありましたが、この経験を通して、困っている時に相談できる人がいることのありがたさ、周りの人の温かさに触れられたこと、そして自分も少しずつ変化をしていることに気づけたのは嬉しい発見です。

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